平安時代には黄櫨染(こうろぜん)と同じく天皇のみが着用したとされる禁色の麹塵(きくじん)色。
緑にくすんだ抹茶を混ぜたような色味で、光の加減によって金茶の色味が差し、
緑が浮くように映える捉えることができない色はあまりにも不思議で魅惑的であり、古来より人々を魅了した色です。
その染め方は他に対して例外中の例外とされる染色法であり、
失敗も多く非常に困難なもの。
その技術を熟練の職人が研究、分析し、
現代の染料を用いて新しく生み出しました。
抹茶のような落ち着いた深みある緑は光や角度で美しい変化を見せ、
その地に粗伏で浮かび上がるのは一年にたった一晩、
夜に大輪の花開く月下美人。
ゆらぐ伝統色にやわらかな色使いで織り上げられた花は
どこまでも優美で格調高く、唯一無二の美しさを放ちます。